2023年ももう終わりです。今年も色々ありましたが、自分にとって一番大きかった出来事の一つがイヤホン沼にはまったことです。イヤホンが元々苦手だったのですが、特にOpenFitやCleer ARC2などオープンイヤー型のイヤホンの出来が良かったこともあり数年ぶりくらいにイヤホンを試聴/購入しまくる1年になりました。コロナ禍が明けて、移動の機会が多かったのもあったかもしれません。
そんな筆者ですが、今年1年だけでイヤホン探しの旅は今年で終わることになりそうです。5月にOpenFitを手にいれ、8月にCleer ARC2を手に入れた筆者は、9月にTechnics EAH-AZ80に手を購入。そして結局12月まで毎日使いこんでいたのは・・・AZ80だけでした。嫌いだったはずのカナル型イヤホンです。Cleer ARC2は嫁に取られたという側面もありますが、結局AZ80を手にしたら離れられなくなりました。もうこれがない生活は考えられません。
ということで、今回は私的イヤホン蠱毒を勝ち抜いた最強のイヤホンTechnics EAH-AZ80の3ヶ月使用レビューをしたいと思います。
Technics EAH-AZ80レビュー
EAH-AZ80ってどんなイヤホン?
Technicsというパナソニックの高級オーディオブランドのフラッグシップ完全ワイヤレスイヤホンになります。
まあパナソニックが出すフラッグシップイヤホンというだけで、もう言葉はいらないですよね。使っていて不満がでないスペックなのはもう確実です。
そもそも、3万ー4万前後のフラッグシップ完全ワイヤレスイヤホンは各社しのぎを削っている領域ですから、迷ったらこのあたりを購入しておけば不満はないんです。SonyのWF-1000MX5やゼンハイザーのMOMENTUM True Wireless 3、AppleのAir Pods Proやなど、選択肢は本当に色々あります。それぞれ音質について多少の違いはあれど、正直極度のオーディオファンでなければ気付かない程度の差しかないように個人的には思っています。
ではなぜTechnicsのEAH-AZ80を選んだのか?それは、この機種にしかない強みがあったからです。それが、、、3台同時接続(マルチポイント)できる唯一の機種だから!
一級の音質が担保されているのであれば、あとは機能性で選んでしまえ!というのが筆者の考えです。そしてその機能性の最たる所が、購入時点で唯一(のはず)の3台同時接続機器。この機能があることで、プライベートスマホと会社PC、会社スマホの3台同時接続が可能になります。出社移動時に好きな音楽や英語の勉強をしながら、会社スマホに電話がきたらすぐ対応できる。そして、会社につけばそのままPCを開いてオンラインミーティングに参加したりと、イヤホンをしまうことなくシームレスに運用できるのです。これがしたくて、今回はAZ80を選びました。
ちなみに3台マルチポイント接続だけが目的の場合、一つ下のクラスのEAH-AZ60m2という選択肢もあります。 こちらであればAZ80より1万円以上安く購入できます。音質へのこだわりがそこまで大きくなければ、AZ60m2という選択肢もありますね。(といっても、AZ60m2も音質はかなり良いようですが)
3ヶ月使ってみた感想
ということで、3台マルチポイント接続に惚れて購入した訳ですが、ここからは購入して良かったことをまとめていきたいと思います。
3台マルチポイントはやっぱり神!
先述の通り、3台マルチポイントのために購入した訳ですがやっぱり良かったです。プライベートと仕事でシームレスに使えるのが本当に快適。面倒な接続のし直しがほぼ無くなりました!ほぼ、、、というのは、筆者の場合iPadと繋げて旅行中や作業中にYoutubeやTVerをみる使い方もするので、欲を言えばあともう一台繋がるとベストだったというのがあります。比較的頻度の低い会社スマホとiPadはその時々で接続を切り替えて使う形で運用しているので、接続し直しを完全にゼロにすることはできませんでした。
ただ、3台マルチポイント機能がなければ接続し直しの手間は倍じゃすみません。筆者のように複数デバイスでイヤホン共用する運用が多い方は絶対に、マルチポイント接続数が多い機種を選ぶのがおすすめです。
何もしないで勝手に接続してくれるのは本当に使い勝手がいいですよ。
コンチャフィット形状のおかげでカナル型イヤホンの割に耳が痛くない
筆者がこれまでイヤホンが長続きしなかったのが、毎度耳が痛くなってしまうからです。
ただ、AZ80はイヤホンを耳の穴だけでなくコンチャ部という耳穴の周囲にあるくぼみもつかって支える構造になっています。これのおかげか分からないのですが、今までのイヤホンと違ってつけていても全然ストレスが無いんですよね。これは本当に驚きました。コンチャ部にストレスある訳でもないのに不思議です。
とはいえ、4−5時間くらいぶっ通しで使っていると急に耳が痛くなる感じはありますので、流石にオープンイヤー型のように1日中つけるのは難しいですね。1日中つけっぱなしを期待するならOpenFitなどのオープンイヤー型の方がおすすめです。
一方で4−5時間もぶっ通しでイヤホンをつける機会が個人的にそう多くないので、筆者にとってはAZ80で十分快適に使えることがわかりました。結果としてオープンイヤー型のイヤホンの稼働率がほぼ0になり、先日遂に手放しました。
ノイズキャンセリングが最高
オープンイヤー型のイヤホンを使っていて困ったのが電車移動中にほぼ音が聞こえないこと。電車移動するなら最初からインナーイヤー型を買っておけと有識者に怒られそうですが、やっぱりインナーイヤー型のノイズキャンセリングは快適ですね。
ノイズキャンセリングの性能でいうとSonyのSonyのWF-1000MX5やBOSEのQuietComfort Ultra EarBudsなど、より評判の良い機種もあります。しかし、AZ80のノイズキャンセリングの出来もかなりのものです。本当に自然に周囲の音を消してくれており、めちゃくちゃ快適。オープンイヤー型が好きで、どちらかといえば外音取込みモードをメインに運用するつもりでしたが、あまりに出来が良すぎるので歩道が無い道以外ではほぼノイズキャンセリングモードで運用する形に自然と落ち着いてしまいました。
ノイズキャンセリングをやめると、こんなにうるさい環境だったのかと驚くこともしばしばです。夜の住宅外以外ではもうずっとノイズキャンセリングモードにしていたい!!
また、電車でノイズキャンセリングを使うと、走行音の方を消しにいくため車内のアナウンス等を聞き漏らすこともありません。この辺は、AZ80に限った話ではないのでしょうが初めて本格的なノイズキャンセリングイヤホンを使った身としては感動しました。
もうノイズキャンセリング無しには戻れない・・・
一方で、少しネガな部分で言うと、これもAZ80に限った話では無いと思いますが音楽再生せず無音の状態でノイズキャンセリングをすると、ほんのり圧迫感があり疲れを感じます。耳栓的な感覚で使用したい方にとっては少し注意ですね。まあ、フラッグシップイヤホンで耳栓的な用途を狙うユーザーは多く無いと思いますが。普通に音楽再生しながらの用途では全く気になることなく使用できています。
外音取込みも十分自然
ということで、ノイズキャンセリングモードをメインとした運用に変わってしまったのですが、コンビニや夜間、危なそうな道路などでは外音取込みモードもがっつり使っています。
もともとオープンイヤー型イヤホンを使っていたため、外音取込みだと満足できないかな?という不安を持っていましたが、使ってみると驚きでかなり自然な使用感でした。ここまで進化していたんですね、、、驚きです。ここまで素晴らしい出来だと、オープンイヤー型のメリットは耳が痛くなりにくいなど装着感に限定されてしまうのでは、、、と正直愕然としました。
こちらもネガな部分で一点気になったのが室内での外音取込み時。エアコンの風の音が少し強調されて聞こえます。正直少しうるさいです。室内でのながら聞きがメインであれば、外音取込みよりオープンイヤー型の方がメリットありますね。職場でも出張がなくがっつり滞在する時は、AZ80ではなくOpenCommを使う方が快適で、そういった運用になっています。
ここが進化してくれたらもう欠点はなくなりますね。
タッチジェスチャーはカスタマイズもできて快適
タッチジェスチャーについても、右・左それぞれに対し1タップ、2タップ、3タップでジェスチャーが割り当てられており、アプリでカスタマイズ可能です。曲の再生/停止、曲送り/戻し、音量調節、ノイズキャンセリング/外音取込みモードの切替が全てジェスチャーで操作できるのはめちゃくちゃ楽ですね。
連続タップは慣れが必要なのと偶にミスしてしまいますが、反応は上々。できれば音量調節はタップではなく長押し等で調整できる方が使いやすかったかな、とも思いますが十分です。OpenFitではジェスチャーで音量調整できず少し手間でしたからね。ジェスチャー操作とカスタマイズ性があるのはやっぱり有難いです。
ケースを握りしめるときしみ音がする
ここまではポジティブな感想ベースでしたが、ここからはネガな部分の感想に移ります。まず、一番使っていて残念なのがケースのきしみ音。
AZ80は質感アップのため上蓋がアルミ製になっています。これ自体は質感が高くて素晴らしいのですが、非接触充電のためなのでしょうか、下蓋まではアルミにできず樹脂のままなのです。このせいで、ギュッと握ると軋み音がするのです。力を入れて握りしめない限りはならないし、音も大したことはないのですが、正直質感UPというよりはむしろがっかりポイントになっているような感じが否めません。これだったら下位モデルのAZ60m2と同じく上下樹脂ケースでよかったのではないかと・・・
黒に金文字のデザインが気になる・・・
また同じくデザイン/意匠面でもう一つネガな部分があります。これは完全に個人的な趣味ですが、黒色の筐体に金の文字でTechnicsのロゴ・・・正直成金感のあるカラーリングで好みではないです。
まあ実物を見ると金色がかなり落ち着いた金色なので、画像を見ていた段階で懸念していた程の成金感はなかったのですが、ただ決して好きなデザインではないのは事実。ということで、シリコンケースを着けて運用する形に落ち着きました。
ただ、こうすると折角のアルミケースの質感を感じることもありません。やっぱりケースはアルミにせず樹脂のままでよかったのでは・・・。正直デザインの好き嫌い関係なくシリコンケースを付けるユーザーは多い気がするので、やっぱり無理してアルミケースを採用する必要はなかったように思えます。
ブームマイク付きにはマイク音質では勝てない
最後に、通話音質です。これも筆者は仕事中はブームマイク付のOpenCommを使っているので、AZ80を使うと通話相手に気づかれる程度には音質に違和感があるようです。
会話に支障はないし、がっつりオンラインミーティングはできるもののOpenCommほど聞きやすくはないレベル。まあ、ブームマイクが付いていない以上これは覚悟の上だったので、問題はありません。移動が多い日はAZ80ベースで使用し、がっつりオフィスや家で仕事する場合はOpenCommを使うという使い分けで運用していく形でかなり快適に仕事できています。
かなり会議が多い仕事をしているため、AZ80を導入することで移動中からオフィスまで問わずに会議に参加できるようになったのはかなり生産製に寄与していますね。
まとめ
ということで、ここまでAZ80を3ヶ月使ってきた感想を語ってきました。総論として、それぞれの機能でいうと100点満点ではない、けれど全ての機能が90点以上の全方位高性能の超優等生イヤホン、といった感じでしょうか。といってもただの優等生ではなく、3台マルチペアリングという唯一無二の売りをもち複数デバイス持ちにとっての利便性において独自的なポジションを保持しており、ここが刺さる人にとってはまず間違いなく「買い」なイヤホン。
音質が最優先、ノイズキャンセリングが最優先。そう言う方であれば、他のハイエンドも選択肢に入ってきます。ただ、シームレスに他機種に使える「利便性」。ここに刺さる人には是非AZ80を取っていただきたいですね。ガジェット好きにこそどハマりするイヤホンだと思っています。
ちなみに筆者は利便性の次に音質を優先してAZ80を選んだ訳ですが、音質側の目線でもAZ80が劣っていたと感じた訳でもありません。DENON PerL Proを除くと、正直フラッグシップ機であればそこまで明確な優劣はないかな、というのが試聴しまくった感想です。個々の好みや聴覚による程度の差でしかないと思っています。
ただ、最後まで悩んだのがDENONのPerL Proでした。視聴した感じ、ノイズキャンセリングも装着感もAZ80の方が優れていたし音質も試聴時点では正直大差なしでした。ただDENON PerL ProにはAIで個人の聴覚に合わせてオーダーメイドサウンドを作ってくれるパーソナライズ化がガジェット好きには凄く惹かれたんですよね。こればっかりは試聴機じゃ確かめられなかったので、そこだけ気になっています。まあ、そもそも5万円だったので2万円もAZ80より高かったので予算オーバーだったのですが・・・
ということで、3万〜4万程度で購入できる完全ワイヤレスイヤホンとしてはTechnics EAH-AZ80は本当におすすめです。イヤホン探している方であれば絶対に一度は試していただきたい万能機だと思います。今回はここまで。お読み頂きありがとうございました。